藤森照信建築|家結びブックス

人類の建築をめざして

藤森照信氏の処女作「神長官守矢史料館」が完成したのは1991年、45歳の時です。建築の歴史家として、あるいは路上観察団のメンバーとして既に著名だった藤森氏の建築家デビュー、しかも「見たことがないのに懐かしい」と建築家の隈研吾氏が称した不思議な建築をつくったことは、建築界に衝撃を与えました。以降、最新作の「焼杉ハウス」や「ねむの木こども美術館」まで一貫して藤森流の建築をつくり続けています。

屋根に生えるタンポポやニラ、杉板の表面を焦がした「焼杉」など、藤森氏が自然素材や植物にこだわるのは、古今東西のあらゆる建築を知り尽くした氏ならではの「人類の建築にふさわしい素材」だから。そして藤森氏の視線の先には、人類の建築の原点―新石器時代の洞窟住居やアフリカの泥の家―までもが見据えられています。だからこそ藤森建築は、誰が見ても面白く、心地よいのです。

そうした藤森建築の魅力を満載した本書は、建築やデザイン関係の人々はもちろんのこと、広く一般の人々に「建築の楽しさ」を訴えかけます。

出版社 TOTO出版
著者 藤森照信